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アンティーク調のカスタムメイド・ジュエリーを制作するRui&Aguri Fine Jewelryの稲葉留威・安久里さん夫妻。日々、イギリスをはじめ世界中からの注文に応えるお二人に、ジュエリーにかける想いを語っていただきました。

●ジュエリー制作を始められたきっかけを教えて下さい。
安久里(以下A) カリフォルニアに留学中、現地の高校でネイティブ・アメリカンからインディアンジュエリーを学べる授業があったんです。アート系の高校だったので、それまで私は絵や陶芸、デザインを勉強していたんです。でもそのジュエリーの授業を受けて、自分で作ったものを実際に身に付けられることに感動したんですよ。授業で作ったシルバージュエリーは、校内で販売されたんですが、実際に売れた時はとても嬉しかったですね。それから制作を始めました。
留威(以下R) 僕も同じカリフォルニアの学校に通っていて、主に油絵や写真、彫刻を勉強していました。そこで彼女と出会ったのですが、彼女がジュエリーでやっていこうと決めた頃、僕は彫刻に打ち込んでいて、大学進学後も彼女はジュエリーを、僕は彫刻を学び続けました。同時期に日本に帰国し、彼女はイギリスでジュエリーを学んだ先生のもとでジュエリーを勉強することになったんです。僕は通訳や翻訳等の仕事を経て、遊園地の美術デザインをする会社に就職しました。それでもやはり何か自分で『ものづくり』をしたいという気持ちが強くなって、その旨を彼女に話すと、ジュエリーなら僕がそれまでやってきた彫刻の技術や美術の知識も活かせるし、机一つで出来る仕事だと。二人でなら何とかなる、だから一緒にジュエリーを作っていこうと言ってくれたんです。そうして二〇〇四年に僕らのブランドRui & AguriFine Jewelryを立ち上げました。

●なぜイギリスでジュエリーを習った先生のもとで勉強することに?
その先生はお店もやっていて、イギリスにいた時に購入したアンティークジュエリーを販売していたんです。それが本当に可愛くて。私は手頃に購入できて、いつでも身に付けられるようなジュエリーが作りたいと思っていましたし、蚤の市で見つけるようなアンティークや古着が大好きだったので、その先生の作っているジュエリーに惹かれました。本物だけど、デイリーに身に付けることができるジュエリーを自分で作れてしまうというところが魅力でしたね。先生はジュエリーを作る時に使う用語もフランス語を使っていたり、使う道具もイギリスで購入したものを分けてくれたりしました。私は主にアメリカの高校と大学でジュエリーや美術を勉強したんですが、常にヨーロッパへの憧れはありました。通っていた学校にはヨーロッパからの留学生が多くて、彼らからヨーロッパのジュエリーを見せてもらったり話を聞いたりして刺激を受けたりしましたし、特に彼らは本気でアーティストになろうとしている奨学生だったので、彼らのものづくりやアートにかける想いにも影響を受けました。

●ブランドを立ち上げられてからはどんな道のりだったのでしょう?
所謂無名の二人ですから、始めは苦労しました。まずは結婚する予定の知人に声をかけて、指輪を作らせて欲しいとお願いして回りました。そして特注の結婚指輪や婚約指輪を制作していくうちに、口コミやウェブショップで僕らのことを知ってくれるお客様が増えてきて、いつの間にか世界各国から依頼が入るようになったんです。最初に作った指輪は、ホテルマンの友人の結婚指輪だったのですが、最初のデザインの打ち合わせで、彼から仕事上あまり派手なものにはしたくないけれど、ダイヤを沢山散りばめた指輪が欲しいという要望を聞きました。試行錯誤の末、出来上がった指輪のデザインは、シンプルだけど、彼の希望をギリギリまで残したユニークなものになりました。その後彼から「上司に派手だと言われるどころか、その指輪いいねと褒められたよ」と言ってもらった時は、本当に嬉しかったですね。

●世界中から注文を受けていますが、最初の海外のお客様がイギリスの方だったとか?
そうなんです。僕らが使っているウェブショップはアメリカ主体のものだったので、てっきりアメリカ人のお客様が最初なのかと思っていたんですよ。だから何かやはりイギリスとは繋がりがあるんじゃないかと思いましたね。ケントの方からの、ゴールドの鳥をモチーフにした僕らの定番のブローチの注文でした。冬にコートの襟につけたいとメールに書いてあったのをよく覚えています。今でもイギリスからの依頼は非常に多くて、面白いことに結婚指輪の注文が多いです。
ジュエリーメーカーは欧米にも沢山あるのに、敢えて日本でやっている私達に依頼して下さるのは、買う側も多少はリスクを感じると思うんですよね。結婚指輪などの特別な指輪を購入する場合は特に。それでも私達のデザインを気に入ったからと購入して下さったり、お届けした後にありがとうのメールをいただいたりすると、本当に嬉しいですしやりがいを感じますね。

●海外のお客様からのカスタムジュエリーの依頼はどうやって受けているんですか?
大抵のお客様は既に僕らの作品を見ているので、一からというよりも、既存の作品をカスタマイズするのが多いですね。メールで要望を言葉で綴ってもらい、それを僕らが汲み取り、デザインを提示するのですが、やはり前提として僕らのデザインが好きで依頼して下さっているので、これまであまり食い違ったということはないですね。あとは既に宝石を持っていて、リフォームして新しいジュエリーにしたいという方もいらっしゃいますね。
以前、シアトルのご夫婦の結婚指輪を作らせていただいた時、メールで何度かやりとりをしているうちに、日本に行って打ち合わせしたいと実際にシアトルから日本まで飛んできて下さったんです。その方は百年前くらいの指輪をお持ちで、それをリフォームして結婚指輪にされたいという方でした。内心、本当に来られるのかなと思っていたんですが、実際にアトリエまで会いに来て下さいました。とても驚きましたが、嬉しかったですし、その後一緒に東京観光をしたりして忘れられない思い出になりました。

●今後はどのような活動を?
今はありがたいことに本当に沢山の依頼を受けていて、結婚指輪は二・三ヶ月待ちになっています。特注の依頼が大半なのですが、二人で作業をこなしているので、手が足りないというのが現状ですね。今後も結婚指輪や婚約指輪の制作に力を入れていきたいと思っています。結婚指輪はある意味で結婚の象徴でもあり、二人の繋がりを確認する、意味や想いが込められたものだと思います。ですから僕らは、孫の代まで引き継がれ、三世代に渡って楽しんでもらえるような指輪を作りたいんです。 
西洋美術をアメリカで学んだ東洋の日本人の私達が、日本でイギリスアンティークジュエリーを基板としたジュエリーを制作しているというのは、私達のキャラクターだと思いますし、お客様と打ち合わせする間に瞬間的に誕生する指輪のデザインは、お客様と私達のコラボレーションであり、私達でないとできない特別なものづくりだと思っています。今後もこうしたオリジナルジュエリー制作のお手伝いをさせていただければと思っています。

●読者へのメッセージをお願いします。
結婚指輪というと、まだまだ有名ブランドの物を購入する人が大半で、特注の指輪の世界を知らない人も多いんです。そうした方にぜひ特注で作る世界に一つだけの指輪の魅力を知ってもらいたいです。
私達は、最初のデザインの打ち合わせを大切にしています。お客様がどんなイメージを持っているのかを汲み取り、それに一番近い形を絵に起こして提示していくので、デザインの大まかなイメージがあっても、具体的にどの石を使うのか、どんな素材や形にするのかわからないという方も、諦めずにまずはご相談下さい!


稲葉留威・安久里(いなばるい・あぐり)さん
1978年生まれ。米国美術留学中に出会い、ジュエリー制作を始めた夫婦デュオ。2004年に夫婦でRui & AguriFine Jewelryを設立、それと同時にウェブショップもスタートさせる。ヨーロッパのジュエリーテクニックと日本の彫金技術を合わせたカスタムジュエリーは、世界中の顧客を魅了し、オーダーが後を絶たない。稲葉留威は2011年についぶ東京ジュエリー工房賞受賞。
Rui & Aguri Fine Jewelry HP: http://www.ruiandaguri.com/


 

 

 

 


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